扁桃摘出手術の備忘録

扁桃・アデノイド摘出手術を決行。備忘録として経過を残しておく。

 入院1日目(手術前日)
 朝から入院。荷物が多かったのでサンタマリアが付いてきてくれる。ファンに取り囲まれるサッカー選手のモノマネをしながら院内へ。前に一度入院している病院なので、手早くベッド周りの装備を整える。窓側のベッドでよかった。
 手術の説明を受ける。全身麻酔が効くまでの数分間、好きな曲を流せますがリクエストありますか?と聞かれたので悩んだ末に「SMAPでお願いします」と伝える。 昼夜と通常食。夕方に母が来て雑談。夜に生理が来て、もうなんでも来いという気持ち。 

入院2日目(手術当日) 
キムタクの誕生日。朝から絶食。9時過ぎに母到着。10時ちょうどに手術室へ。もの凄い手際の良さで様々な器具を付けられる。麻酔直前で「世界に一つだけの花」が流れ始め、感動で泣きそうになる。数分間だから何でもいいと思っていた自分を恥じたい。すんでのところでSMAPと言った自分を褒めたい。単純な性格なのでめちゃめちゃ元気出た。
 目が醒めると既に個室に移動された状態(だったと思う)。この時が昼の12時過ぎくらい。頭がぼやっとする状態ながら、先生から「扁桃取れたよ〜」と細長いケースを二つ見せられる。眼鏡をかけてなかったので終始靄っていたが、それぞれに大きい梅干しの種みたいなのが入っていた。「写真撮る?」と聞かれて断る。 
声が全く出ず、いろんな機械に繋げられて身動き出来ず、喉痛く、生理だし、とにかくこの時が一番しんどかった。何よりも、鼻の奥のアデノイドを切除した関係で詰め物がしてあり、鼻呼吸が出来ない。携帯のメモに言いたいことを打ち込んで親に見せたり、ジェスチャーしたりでコミュニケーションを取る。母がほぼ飲まず食わずで付き添ってくれて、感謝しかなかった。 
面会終了30分前くらいに仕事終わりのサンタマリア到着。ここで母との初対面。喋れなくてごめん…と思ったが、そつなく対応してくれて助かる。20時に面会終了、一度に人がいなくなってかなり心細かった。そのあとは、眠気が襲う→呼吸がうまく出来なくて目が覚める→悶える→眠気が襲う、の繰り返し。少しでも気を紛らわせたくて携帯でラジオの過去番組を流す。耳元でくだらない話がずっと続いていて、なんだかホッとした。 

入院3日目(術後1日目) 
夜中〜朝方にかけて何度も看護師さんが様子を見に来てくれて救われた。どうしてもトイレがしたくて朝方に一度ナースコール。この時対応してくれた看護師さんがサバサバした感じの気さくなお姉さんで、心強かった。 朝になるといろいろな器具が外され、点滴のみに。8時に朝食。ゼリー2つに牛乳だったかな?とにかく食べることが回復への近道だと、事前に読んだ幾多もの体験記に書いてあったので気合いで食べる。思ったより喉は痛くない。
昼前には大部屋に移動。さすがにnetflixを観る余裕もなく、この日もひたすらラジオ聞いたり寝たりして過ごした。 

入院4日目(術後2日目)
 ちょっと前のことなのにもう記憶が薄れてきている。父と母がやって来て、ヒソヒソ声で雑談。喋るのが辛い。記念にと思って2人の写真を撮ったら、撮られ慣れていない両親はすぐに写り具合を確認してきた。相変わらず小競り合いする2人を見ながら、平和だなあと思う。
この日までは喉の痛みよりも痰の絡みの方が辛くて、楽な体勢を探すのに必死だった。ようやくnetflixを開いて、サンタマリアがハマっているという「シャーロック」を見始める。英国演劇界の頂点に立つカンバーバッチ様主演のドラマが面白くない訳ないだろう!ということで、あっさりハマる。 

 入院5日目(術後3日目) 
起床直後、今までにない喉の乾きを感じ、悶える。咳も出始めて、痛み止めを飲んでもなかなか良くならなくて辛かった。この日から点滴が終わり、飲み薬に変更。こんなに痛いのに大丈夫か?!と心配になる
夕方に診察があり、舌に多数の口内炎があることが発覚。手術の時にいろんな器具を口内に入れるため、術後よくある症状らしい。追加で咳止め、口内炎用の薬を処方してもらう。シャーロックの続きを見たり、イーサン・ホークが出ているインディーズ系映画を見て気を紛らわせる。気を紛らわせる、ということが大事だとこの辺りで気づく。
 19時過ぎにサンタマリアが面会に来てくれる。本当に良い人だな君は。 

入院6日目(術後4日目) 
起床。昨日よりは痛みが少なくホッとする。が、朝ご飯を食べ始めたあたりから喉・舌・耳の奥の方にズシーンとくる痛みが。土日なので先生に直接聞けていないが、体験記などを見るとどうやら「放散痛」という痛みらしい。治りかけの時に出てくる痛みなので、誰もがここを通るらしい。今のところ術後出血もないので順調だと思いたいが、放散痛には痛み止めが効きづらいのか、とにかく食事が一苦労。一口食べてはため息をつき、一口食べては…のエンドレスリピートである。いろいろな人の体験記を見て元気を出す。丁寧に術後1年経っての様子を書いてくれている人とかいて、助かる。今は痛みに支配されているが、唯一の希望は体験記を書いているほぼ全員が「手術してよかった」と言っていることと、その後楽しそうに生活していることである。元モー娘。保田圭も手術の体験記を書いていて、初めて彼女に好感を持った。
 日中はバーフバリを見て過ごす。なんですかあのインド映画は?!(すごい)15時過ぎにサンタマリア面会。お願いしていた濡れマスクとティッシュを持ってきてくれた。ニンニク臭かったので「ニンニク食べたでしょ」と言ったら「毎日食べてるよ」とのこと。そうですか。 

入院7日目(術後5日目)
 やっと術後5日目か。先は長い。昨晩も鼻詰まりのせいでなかなか寝付けず。朝食を取っている時に、昨日よりも口内炎が痛いことに気づく。一度痛いと思ってしまうと、どんどん追い詰められていく。剣山で舌を刺されているようだ、という表現が思いつくが実際に剣山で刺されたことはない。
日中はシャーロックの続きを見て気を散らす。夜ご飯の時にあまりにも口内炎が痛く、数ヶ月前に口内炎でご飯が食べられず泣いていた友達のお子を思い出し、今ならその気持ち分かる…となって、あまりにも辛くて少し泣いてしまった。が、お子は2歳、わたしは30歳。泣いてもどうにもならないことは30年も生きていると自明のことなので、泣きながら無理やりご飯を押し込んだ。
 19時過ぎにサンタマリアから連絡があり、30分だけ会いに来てくれた。さすがに落ち込んでいたので来てくれて助かったし、お喋りしていたらあっという間に元気が出た。それはさておき、会話の途中で何か得体の知れないものを飲み込んだ。飲み込んだ後に喉の痛みが少し引いたので、おそらく喉に張り付いているかさぶたの一部かもしれない。かさぶたになって、自然に取れてを繰り返して治癒していくので、少しずつ回復に向かっている気がする。「お金を払って味わう地獄」というワードがここ数日頭を巡っているが、地獄でさえもきっと終わりはあるのだろう。ああ人生。

 入院8日目(術後6日目)
 起床。当たり前に痛い。そしてさすがに病院食に飽きてきた。またシャーロックを観て過ごす。朝早い段階で診察があり、予定通り明日の午後退院することに。鼻の腫れも引いているし、喉も予定通りの感じらしい。あと1週間は痛みが続くとのこと、要安静。
日中はnetflixで「淵に立つ」を観たが、入院中に観るような内容じゃなかった。もっと元気出そうなやつにすれば良かった、、 夕方シャワーに入った後、一時的に低血糖のような状態になり、慌てて買い置きのプリンをかきこむ。痛いが、意識はまともになった。
プリンの後くらいから、喉の痛みが急に引いてきた。毎日朝が一番痛く、夕方〜夜にかけてマシな状態が続いていたが、今日は著しく良好だった(痛いけど)。でも明日朝起きたらまた痛いんだろうな〜〜〜

 入院9日目(術後7日目) 
起床。痛い。病院食に完全に飽きが来てしまい、あまり食べられなかった。退院準備をして、昼過ぎに母と合流しそのまま退院。タクシーで移動していると、1週間程外に出ていなかっただけなのに、町並みはもう秋の終わりが近づいているようだった。 帰宅、やはり我が家がいい。しかもいない間に母が掃除してくれた綺麗な家である(お前がやれ)。2、3日目いてくれるようなので、完全に甘えさせてもらい、帰宅してからも基本横になっていた。 

備忘録はここで第1章完とする。明日からは第2章、自宅養生編もお楽しみに!