2025年映画振り返り

あけましておめでとうございます!いつにも増してブログを書かない昨年でしたが、今年はもう少しこのブログの存在を胸に留め、取るに足らない記録を残して行きたいと思っています。

そんなこんなで2025年の映画振り返りなんですが、今年は映画を一本丸々見る体力がなく、細切れで楽しめるドラマやバラエティばかり見ていました。ランキングをつけるほどの本数を見られていないので、特に良かった数本を記録に残しておこう。

教皇選挙
たくさんの人が2025年のベストに挙げている「教皇選挙」。最後に意表を突かれるどんでん返しがあるのだが、同時に「なんだかこうなるような気がしていた」「これが2025年の映画なのだ」と思わされるような、納得感のあるラストだった。とにかく役者が良い。原題がコンクラーベ(根比べ?)なのもいいよ。

◯ソウルの春
韓国の史実を忠実に再現した「ソウルの春」。韓国の人たちの政治や政府に対する強い"自分事感"は、自分たちの力で民主化を勝ち取ってきたという歴史が大きく影響しているのだと思う。実際にあった出来事だからこそ、終わり方が劇的でないのがよかった。とにもかくにも、現実はこうなのだ。

◯ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
クリスマスや年末年始の休みにぴったりな一作!全寮制の学校が冬休み期間に入り、みんなが両親のもとに帰っていくなか、取り残された生徒と当直を任された教師、そして給食のおばちゃんの3人。普段は関わり合いの少なかった3人が短いホリディを通じて心を通わせていくコメディドラマで、心がじわっと暖まる作品だった。たまにこういうの観ると心が清くなるな。

来年はもう少したくさん映画を見られますように!

そして鴨川へたどり着く

忙しい忙しい忙しい。そう言っているうちにもう5月だ。桜はとうに散り終わり、夏のにおいが近づいて、わたしは白いジャンパーを羽織って、春と夏のあいだの風に吹かれて、毎日自転車を漕いでいる。

年明け以降、自分でも想像していなかったくらいの目まぐるしい毎日が続いている。自分の休みがほぼない状態で、1人きりになれる時間が取れなくて発狂したり、パートナーに八つ当たりしたり、毎日反省と後悔を繰り返している。

先日もパートナーから自分の態度について指摘を受けて、忙しさや余裕のなさは言い訳にはならないってことに改めて気付かされた。忙しいから、自分の時間が取れないからといって、自分の大切な人を蔑ろにしていいわけじゃない。忙しいのはしょうがない。自分の時間が取れないのはしょうがない。そう思えたほうが楽だよ、子どもができたら思い通りにいかないことばかりだよと言われて、本当にそうだなと思った。今、わたしの胸には「Knowledge is power」という金言が刻まれているが、その下に「しょうがない精神」という一言を加えようと思った日である。人はコントロールできない。コントロールできるのは自分だけ。

そんな忙しさの最中、4月。桜が咲き始めた頃、どうにもこうにもストレスが溜まりすぎて、衝動的に見つけたパン屋(進々堂)で桜あんぱんを買い、川端丸太町近くの鴨川のへりに自転車を止めて、空から食べ物を狙う鳶の存在もすっかり忘れて、夢中であんぱんをむしゃむしゃと食べた日があった。あんぱんを食べ終わったらなんだかやけにすっきりした。近くでカップルがキャッチボールを始めて、空は高くて、陽射しがあたたかくて、まるで映画みたいな春の日だった。いつも鴨川を通るたびに「京都に鴨川があって良かった」と思っていたけれど、こうやって何か用事がある訳でもなく、ただそばのベンチに座ってる鴨川を眺めたことが、今までに一度でもあっただろうか?そうはたと気づいて、14年も京都に住んでいて、それをしてこなかったなんて愚かだったと気づくと同時に、今その幸福を知れてよかった。まだわたしには時間がある、大阪に引っ越してしまっても、わたしには戻ってくる場所があると、そう思えたのだった。

それから何度も用事と用事の隙間を見つけては、鴨川にただ座り水面を眺める時間を過ごしている。この数ヶ月、時間を有効に使うことばかり考えて、自分の生活には無駄が足りなかったんだなと思った。鴨川に座って道ゆく人をただただ眺める時間は、何も生んでいないように見えて、たくさんの気づきをくれるのだった。贅沢な時間の使い方とは、まさにこういうことなのだろう。

そういうわけで、予定通りいけば来年の今頃は大阪市民になっているはず。人生何が起こるかわからないね本当。この5、6年はずっと安全圏にいたので、再びチャレンジモードに入るということなのだろう。わたしはわたしの伸び代に期待している。至らないし未熟だし、考え方や人との接し方もまだまだエケチャンだが、いつまでも成長したいと努力できるところや、学ぶことが大好きなところはとってもいいと思う。そう思う。

2024年映画振り返り

新年あけましておめでとうございます!

酢いも甘いもあった2024年。厄年に怯えながら過ごし、いろいろ大変なこともあったが、パートナーと協力して生きた一年だったな。大切な友人たちに加えてさらにパートナーがいてくれて、絶対的な味方がいるって本当に心強いしありがたい。幸せな人生だ。これからも周りに頼りつつ、独りよがりすぎず、素直に生きていきたい。

年明けは弾丸台湾一人旅に行くことにしたので、ウイッシュリストを作ったりトラベラーズノートをしたためたり久々に1人の時間を楽しもうと思う。とりあえず大きな目標はもう決めていて、「サードプレイスを作る」こと。年末に一人で過ごしていた時にパッとそのことが浮かんで、来年はその場所を見つけるための一年になりそうだなと。無意識のうちにそういう場所を欲しがっていたんだろう。2025年は明るくがんばるぞー!

ということで、恒例の映画振り返り!


鑑賞本数:54本
1位 パスト ライブス/再会
2位 コンパートメントNo.6
3位 異人たち
4位 夜明けのすべて
5位 該当なし

4位 夜明けのすべて
評判がよかったので軽い気持ちで見てみたら、すごくよかった。町の小さな作業所で働く主人公(ひどいPMS持ちで癇癪起こす)と、パニック障害を患って前職を続けられなくなり、作業所にやってきた同僚男性が、お互いを少しずつ知り、仲間として支え合うようになっていく話。長い人生でふたりが共に過ごした時間はほんの一部だけど、この人に出会えたから光が差した、と思えるような出会い。それを男女の関係性で映画にしようとする場合、どうしても恋人関係に発展しがちなのだが、この映画は違って、人間と人間の関わり合い、なんというか今時の若者の手触りで、深くもなく浅くもなく、当たり障りがなさそうに見えて突然距離を詰めてしまって後で悔やんだりとか、感情が顔に出なくて何考えてるのかわからなかったりとか、そういうあるあるが詰まってて本当に現代の映画だなと思うし、あたたかい。作った人、演じた人、支えた人たちが全員一生懸命この映画を撮ったのがわかる作品だった。SixTONES松村北斗が良い演技をしていて好感度高かった。

3位 異人たち
我が最推しの俳優のひとり、アンドリュー・スコット主演の映画。ワクワクしながら公開を待ち侘びて、映画館に駆け込んで観た作品なので思い入れとしては1位!以下、興奮のあまり終演後に映画記録のサイトに書き込んだレビューを転載。

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「ゲイであることと、寂しいということは全く別の問題だよ」

この映画のすべてが詰まった一言で、映画館を出て帰路に着いてからもずっとこの言葉が頭にこびりついていた。それぞれが抱える孤独や寂しさに、まっすぐに、真摯に向き合う物語の強さに、圧倒された2時間だった。

我が最推しの俳優のひとり、アンドリュー・スコット主演の映画が上映されると聞いてから、ワクワクしながら公開を待ち侘びていた。ゲイであることをオープンにしている彼がクィアの役を演じると知り、絶対に良い作品になるだろうと期待していました。

ロンドンのタワマンに暮らす脚本家のアダムは、子供の頃に交通事故で亡くなった両親との思い出を物語にしてみようと、過去を遡っていく。昔住んでいた家に行くと、そこで死んだはずの両親と再会して…というのがあらすじ。
ゲイであるアダム(40代)と、“クィア”のハリー(20代)、アダムの両親(生きていたら70代前後?)のそれぞれの関係性や会話から、ゲイ、そしてクィアを巡る時代や社会の変遷が垣間見える。
男性同士の性交渉がエイズ=死を意味した時代を生きてきたため、長い間性交渉を避けてきたアダム、セクシュアルマイノリティを侮辱する意図で使われていた「クィア」という言葉をポジティブに使うハリー、そして「人生の喜びは結婚と子どもだ、だからそれができないゲイは一生孤独で可哀想な人たちなのだ」という偏見があった世代の両親。この3世代それぞれが持つクィアへの価値観や変化が、とても丁寧に、緻密に描かれている。
「今はゲイでも結婚できるし、子どもも持てるよ」と答えるアダムに、訝しげな表情を見せる母親の顔を見て、ああ、時代は変わったのだと感じると同時に、どんなに時代が変わっても、変わらない孤独と寂しさがあることを、この映画は教えてくれる。

長年にわたってアダムの胸につかえていた大きなしこりが、両親との再会、そしてハリーとの交流を通じて少しずつ溶け出した頃、アダムは気づくのだ。この寂しさは、この孤独は、自分だけのものだと思っていた。だけど父親も、母親も、そしてクィアとしてありのままに生きているように見えたハリーですらも、人には見せない孤独があったのだと。それは、クィアだろうが、クィアでなかろうが、みんなが等しく抱えている。その寂しさや孤独を、誰かと共有し合うことが、いかに難しく、尊いのかと。

これはアダムの物語であり、そしてあなたの、わたしの、寂しさについての物語なのだろう。

この映画をアンドリュー・スコットが演じてくれて本当によかった。ただでさえ大きなスクリーンでアンドリューの顔面を拝めただけでも神に感謝するほどでした。

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2位 コンパートメントNo.6
今年から契約したu-next独占配信の映画。評判良くて観たらもうわたしの大好きなテーマ「雪国×旅×長距離列車」が全部詰まってて完全にアウト(いい意味で)!
フィンランド人の女の子が恋人と行く予定だったシベリア鉄道の小旅行。急な予定で恋人が同乗できなくなり、一人で乗り込んだ相部屋にいたのは、酒瓶を手に悪態をつく、見るからに柄の悪そうな男性だった。ロシアの小さな港町を目指して進む電車の中で、不器用なふたりの淡い恋がはじまっていく…みたいなストーリーなんだけど、フィンランドとロシアの文化の違いだけでなく、それぞれの国民性みたいなものが些細な会話から浮かび上がっていく。東欧文化に興味を持ち始めて以来、日本との違い(特に東欧男性に刷り込まれている男性観)に戸惑うことや理解できないことが何度もあったが、こうして国や街の背景を知り、何がそうさせたのか、どんな過去を生きてきたのかを知ることで、少しだけ理解の糸口が掴めることがある。そういう意味で、グッと来る作品だった。あとは今ロシア語を勉強してるので、ちょっとだけ分かる単語が出てくると嬉しい。作品のムードから何から何まで最高で、機会があれば絶対映画館で観たい。

1位 パスト ライブス/再会
映画館で観たかったけど観られず、U-NEXTで鑑賞。2024年に観た映画ではぶっちぎりでベストオブベスト!凪のように進むストーリーのラスト15分、静かに、かつ確かな力強さで畳み掛ける感情の波。運命があるならば、来世があるならば、次の人生で必ずわたしはあなたを見つける。だから今世は、わたしはわたしの、あなたはあなたの人生をしっかりと生きよう、というお互いの決意と覚悟に涙が止まらず大号泣。ラスト15分ですべて巻き返していくあたり、さすがだなーと感心しながら観ていた。
ちょうど公開時期が「異人たち」と被っていたんだよねこの映画。あとは自分本位な主人公(女)がめちゃくちゃ周りに迷惑かけながら生きていて、わたしはそういう映画が大好きなんだなと再確認、、A24への信頼が高まる一作。


そんなこんなで今年もよろしくおねがいします!!

われわれの雰囲気


災害級の台風が近づいている。大雨の日は家にこもって降り頻る雨を眺めていたいのに、いつも出勤日と重なってしまう。昨日今日と台風の対応に追われて、くたくたになりながら帰宅して、超速で作った夜ご飯が思いの外美味しくて、わたしはソファに横になり、パートナーは今にもゲームを始めようという時だった。

パートナーの義母が入院している、ドイツの病院からの電話だった。わたしにも辛うじて聞き取れる英語で、電話口の医者が義母の症状を説明しようとしている。

義母は数年前に動物を介した伝染病で体調を崩して以降、原因不明の体調不良で入退院を繰り返していた。去年の秋に会いに行った時には家事をこなすことが難しい状態で、それでもパートナーに支えられながら3人でカフェに行き、コーヒーとケーキを食べたのだった。
最近になってようやく体調不良の原因がリウマチだったと分かり、定期的な治療を受けているところだった。リウマチの痛みが一時的に酷くなり送られた病院でコロナに罹患し、回復を待っている最中で、医者は「肝臓に腫瘍が見つかった」と話し始めた。これまでの投薬の副作用などで肝臓の調子が悪いと聞いてはいたが、リウマチ以外に別の原因があるとは思ってもおらず、パートナーにとっても寝耳に水だった。詳しい先生に電話を変わりますと言われた後、男性の医師が口を開いた。「持ってあと1週間」。はっきりとした口調で、感情ではなく事実の提示として、同情や哀れみのないストレートな言い回しで、そう告げられた。それは幾度となく同じような場面を経験してきた人の口ぶりで、ああこれが医者の仕事なのだなと逆に感心してしまうほどだった。

今の義母にとっては、どんな治療も身体の負担になってしまい逆効果とのこと。つい昨日、パートナーと義母が電話で話しているのを横目?横耳で聴きながら、数日前よりも声が出るようになって、咳も減ったなと安心したところだったのに。目の前でガラガラとシャッターを下ろされた気分だった。

その後、同じ街にいる親戚が病院で詳しい話を聞いてくれた。明日、義母とビデオ電話をすることになった。隣国にいるパートナーの姉が、数日中に病院に駆けつけるとのこと。

23時半頃、「疲れた」と言ってパートナーは眠りについた。こういうときにどうしたらよいかの答えをわたしは知らない。言葉で何かを変えられる状況ではないので、質問は控えた。「そばにいてほしい」「しんどい」などと言ってくれたら楽なのに思ったりもするが、それはわたしのやり方であって彼のやり方ではないのです。ただわたしならこうしてほしい、と思うことしかやれない。し、それでいいと思う。

気を紛らわすために、職場の上司から借りた「われわれの雰囲気」を読んでいる。状況が重なりすぎている。すべてのこと、タイミングがはじめから決まっているような、そんな気持ちになる。

夢のない僕の傘でよければどうぞ

6月。春の嵐と梅雨の間で、今年も体調を崩す。
パートナーが1ヶ月近くヨーロッパに帰らねばならない用事が入ってしまい、新婚なのに早速遠距離生活。こういう時にフラッとついて行けたらよかったのに。

一人になると、自分の世界の小ささに慄くことがある。関わる人、関わる範囲、関わるものは、自分の置かれている状態で伸び縮みする。元気なときは、世界がわたしの味方をしてくれているような気がするし、病気になったり、落ち込んだりしたときは、世界から見放されてひとりぼっちになった気にもなる。

今、久しぶりに一人きりの生活をしていると、住んでいる家が無駄に大きく感じるし、不在のパートナーがいつもどんなふうにわたしという人間の空洞を埋めてくれていたのかに気づいて、その大きさと有り難さに感謝することになる。空洞は、空洞のままでも生きていけるが、選べるなら、埋まっているほうがいい。いなくてもやっていけるが、いたほうが絶対に楽しい。

そんな寂しさに襲われたとき、昔のわたしがそっと帰ってくる。千本今出川のマンションで、深夜にインディーズバンドの曲を聞きながら、誰に読ませるでもない短編小説を書いていた大学生のわたし。恋愛脳なのにちっともうまく恋愛ができなくて、わたしには一生彼氏ができないのかなと思っていたあの頃。それでも大好きな友達に囲まれて、楽しく過ごしていたあの頃。

あの頃は、頭の中に特別なポケットみたいなのがあって、日々の大事な瞬間を宝物のようにストックして、それを頼りに生きていた。授業終わりに大学近くの神社でみんなで花見をしたあの日、鴨川で水浴びをする後輩を笑った真夏の夕方。大学のベンチに座って何をするでもなく、ひらひらと落ちる枯れ葉を眺めながら友達と話し込んだあの時間。まだ陽の出ていない早朝、道路に積もった初雪をそっと触ったときの冷たさ。幸せじゃない、って思っていた自分は、多分相当幸せ者だった。

あの頃よく聴いていた音楽を聴きながら、そんなことを考えている。今はあの頃より、ずっとずっと幸せだ。だけどあの時のわたしもよかったよ、今戻れたらいろいろとやり直したいことはあるけれど、でもよく生き抜いたね、わたし。あの時があるから、今のわたしがいるんだよな。

いつもありがとう。明日もがんばろう。

2023年映画振り返り

年末恒例の映画振り返り。23歳から続けてきた映画1000本ノック、悲願のゴールインを迎えた2023年。本数はかなり減ってしまったが、今年もいい映画に出会えて幸せだった。前に見て好きだったドラマをもう一度見返したらたくさんの気づきがあったり、ゲームオブスローンズを完遂できたのもよかった。映画以外でもいろいろな良作に出会えていい一年でした。

昨年同様、新旧・洋邦問わず、今年見たものすべて。あと何度か見たことあるけど今年もう一度見た映画も込みで。母数が少なかったので今年はベスト3までにしました。


鑑賞本数:45本
1位 ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
2位 カモン カモン
同率3位 saltburn
同率3位 メタモルフォーゼの縁側

同率3位 メタモルフォーゼの縁側
原作のコミックが本当に良すぎたのであまり期待していなかったけれど、久しぶりに「実写化されてよかった!」と思える作品だった。原作にないシーンもすべて魅力的だった。
いやしかし芦田愛菜、天才!この人の出てる作品初めてちゃんと見たかも。頭のいい人がやる、役に真摯な演技って大好き。

同率3位 saltburn
Amazonオリジナルの作品で、年末駆け込みで見てランクイン滑り込みしてきた一作。今年見たサイコ映画では君がナンバーワンだ!
まずは期待を裏切らないバリー・コーガンの怪演、凄まじかった。この人が出ているだけで「これはやばい映画だ」「絶対サイコ」と言い切れる、信頼感。
大学に進学した冴えない男子が、学内でも人気者でイケメンの裕福な学生と仲良くなり、彼の故郷の屋敷で一夏を過ごす話。最初から最後まで終始不穏な空気が流れていて「絶対何かある」と思った後に必ず何かあるのだがw、ラスト10分はその予想を遥かに超える驚きとエクスタシーが待っている。その10分で全て昇華される感じが、映画の構造として素晴らしいなと思った。

2位 カモン カモン
配信解禁を楽しみにしていた映画のひとつで、期待を悠々と越える作品で涙が止まらなかった。こういう映画が本当に好き。コンプラや多様性の扱い方・感じ方が人によって千差万別な昨今、映画ひとつに取っても、その作り手のスタンスによっては、作品そのものの訴求力だけでは評価できなくなってきたなと感じることが多々ある。そのうえで、この映画はわたしの考えていること、世界はこうなってほしい、こうなるべきだろうと思っていることが美しく言語化されていて、見終わった後に「今はもうこれだけでいい、何も見たくない」という気持ちになるほどの豊かな余韻が残った。子どもがのびのびと生きていられる世界であってほしいし、すべての大人たちは子どもを子どもという枠にはめ込まず、この主人公のように真摯に、人間として向き合うことが大事だと思った。A24、こういう映画もっとおなしゃす!

1位 ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
え、びっくりした?これが1位だって?わたしもびっくりしています!しかしわたしの2023年は、トム・クルーズなしには語れない一年だったとしみじみ思うのだ。
これまでアクション方面のトムに興味がなく、全くと言っていいほど作品を見てこなかったわたしだが、トップガンマーヴェリックの評判を聞いて「これは観る価値がありそう」と思い、手始めにトップガンを見たのがすべての始まりだった。あっという間に、大半の映画ファンと同じように飛行機を操るトムに夢中になったわたしは、続けてマーヴェリックを鑑賞。人生(というか命)をかけて作品と向き合うトムの姿に、同じ時代に生きていることを感謝したのだった。

そのみの勢いで映画館に駆け込んだその日。61歳のトム・クルーズが全速力で走り、決死の覚悟で崖から飛び降りる姿を2000円で観られる奇跡に感謝しながら、スクリーンを見つめていた。なんてことのないストーリーだ。それでも、遠い世界のシネマスターと同じ時代に生きていることが心から嬉しくて、幸福を感じながら映画を見ていた。
いい作品に出会えた時の、心にジーンと沁みるような感動とはまた違う、エネルギーに満ち溢れるような感動が残り続ける。どちらもあるから、やめられない。
映画が好きでよかった!

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以上、2023年の振り返りでした。
2024年もよろしくお願いいたします!

残暑の候

残暑厳しい9月の下旬、みなさまいかがお過ごしでしょうか。暑すぎ。

今月末から、パートナーの家族に会うために2年ぶりにヨーロッパに行くことになった。2年前はコロナに対する不安でソワソワしていたが、今回もまた別の命の危険を感じながら渡欧することになる。

飛行機に乗る前は、いつも「これで死ぬかもしれないから、幸せだったことを思い出そう」ムーブに入る。長期の海外旅行はこれで3回目か。1度目が27歳の秋冬?2度目が33歳の夏秋、そして35歳の秋。初めてロンドンに一人旅をした8年前と比べると、随分と遠いところまで来てしまった。欲しいと思ったものは大体手に入れて来た、ラッキーな人生だとしみじみ思う。

日々嫌なこと、しんどいこと、大変なことに溢れているが、なぜかいつも心の中にあるのは「今死んでも後悔しない」という気持ち。なぜなんだろう?まだまだやりたいことはたくさんあるし、行きたい場所も、見てみたいものも数え切れないくらいあるのに、ちっとも口惜しさがない。振り返れば散々な経験もしてきたはずなのに、いざ思い出そうとすると幸せだったことしか思い出せない。これからのことを思うときも、こんな社会で生きなければならないという絶望に反して、なぜか希望に満ちている。自分のことを大切に想ってくれる人がいて、この人とならこの先の人生を一緒に過ごしてもいいかもなと思える人がいる。それが今の幸せの一端を形作ってくれていることに間違いはないが、たとえこの先また独りになろうと、それでも楽しく生きていくんだろうよお前は、という信頼が自分に対してある。これが自己肯定感というものなのだろうか?自己信頼性というほうが正しいのか?とにかく、わたしは人並みにコンプレックスを持ち、どちらかといえばシニカルな感受性に溢れた人間であることは間違いないし、これからもたくさん間違いを犯すだろうが、命が終わるまでは、やりたいことをやって、やりたくないことをできるだけやらずに、しぶとく生きていくだろう。それが、わたしの人生なんだろう。

35歳も半分を過ぎた。いつこの人生が終わるかは分からないけど、終わるまでは自分を信じて一生懸命生きていこう。