8月30日〜9月2日

パートナーが交通事故に遭った。その時のことを覚えておきたくてここに残します。

8月30日 午後8時半
元同僚と中華を食べ終え、大雨の中を自転車で帰宅。前が見えないほどずぶ濡れになった。自宅に着くとパートナーの自転車がない。夜ご飯は別々になることが決定していたから、友達に会いに行ったんだなと思った。大雨は大丈夫かな?と少し心配する。その後全裸になり速攻風呂に飛び込む。

午後9時20分過ぎ
髪を乾かそうと洗面台の前に立ち、オイルをつける。ドライヤーのスイッチを入れる前に携帯電話が手元にないことに気づき、リビングに取りに行く。

午後9時半
リビングの携帯が鳴っている。パートナーからだ。応答すると、誰か知らない男性がパートナーに話しかけている声がする。パートナーの声が聞こえたので何度も呼びかけるが、電波が悪いのか会話が出来ない。かけ直そうとして電話を切ると、9時20分頃から7、8回の着信があったことに気づく。
再度かけ直すと、救急隊員と思しき人が電話に出た。最寄りのスーパーの近くでパートナーが交通事故に遭ったこと、病院に搬送したいが付き添い兼通訳が必要だというようなことを言われ、すぐに来られるかと聞かれた。5分か10分で行けると答えて、濡れ髪のまま慌てて服を着替えて家を飛び出した。外はまだ雨が降っていて、なんでやねん!と思いながらレインコートを羽織って自転車で向かう。途中で「救急車に乗るならタクシーで行ったほうが良かったかな」と思いながら、とにかく急いで向かった。

午後9時45分頃
現場に到着。居合わせた警察官に身元を説明し、詳細を聞く。パートナーはきちんとルールを守って進行方向の自転車用道路を通行していたが、相手側が進行方向とは逆の道路(=パートナーと同じ道路)を使用してお互いに衝突。歩行者道路に跨るようにして路駐していた車が視界を塞ぎ、双方とも相手の姿が見えなかったらしい。

その場にいた加害者から謝罪を受けたが、状況が分からないのでひとまず連絡先を聞き救急車へと向かう。その直前で眼鏡をかけた男性が「これ、男性の荷物です」と買い物袋を渡してくれた。血が付いた買い物袋の中身はパートナーの好きなすももで、これを買うためにスーパーに寄ったんだなと思ったら愛おしくて悲しくて泣きそうになった。

後から分かったが、その男性はたまたまそこを通りがかり、日本語のできないパートナーのために通訳をしてくれたらしい。電話に出たのも彼だったようだ。個人情報の関係で連絡先は教えられないと警察官に言われ、お礼を言えずじまいとなってしまったが、本当に感謝。

午後10時過ぎ
救急車に乗り込むと、頭に包帯を巻いたパートナーが狭い車内で担架に乗せられていた。頭を強く打ち、切り傷ができているらしい。意識はあり、ちょっと疲れてるなくらいの見た目。会話も普通に出来たので、一旦ここで冷静になれた。パートナーは過去に2度、大きな脳しんとうを経験している。そのうち一回は生死を彷徨う手術を受けているので、それが心配だった。

搬送先はすぐに見つかったのだが、熱が38度近く出ているらしく、コロナ疑いで搬送出来ないかもと言われる。外傷があるんだから熱が出るのは当たり前でしょと言いたかったが、コロナじゃないと言い切れないから何も言えなかった。困ったなと思っていたら車が動き出した。どっちやねん、、

意識を途切らせたくなくて、ひたすらパートナーに話しかける。完全に相手の過失であるため、パートナーはめちゃくちゃ怒っていた。怒る元気があるなら大丈夫かも、、とすら思う。生まれて初めて救急車に乗ったが、揺れが酷く、乗り物酔いの気があるパートナーを励ますので精一杯だった。

午後10時30分頃
病院に到着。待っている間に加害者の方から電話が入る。改めての謝罪を受け、今後の段取りを軽く話す。発生した金銭等は全て払う気があるとのことで、常識のある人でよかった。引き続き連絡を取り合うことを約束し、終電。

しばらく待っていると看護師さんに呼ばれ、「頭を縫う必要があると説明してほしい」とのこと。お医者さんはみんな英語が出来ると勝手に思ってたけど、違うのか、、そしてコロナの関係で処置室には入れないとのことで、ドアの向こうから叫ぶという謎の対応を迫られた。必死に説明するも、「痕が残るから嫌だ、縫わなくていい」とパートナーの返事。溶けるタイプの糸はないか看護師さんに確認したが、抜糸が必要な糸しかないとのこと。外科専門じゃないから仕方ないのかもしれない。縫合しないと血が止まらないことを説明してようやくパートナーの許可を得た。

午後11時頃
看護師さんに再度呼ばれ、コロナの検査が陰性だったので近くにいていいですよと言われた。病室に向かい、ぐったりしたパートナーと対面。看護師さんたちが英語を理解できないのををいいことに、パートナーは縫合がどれだけ酷いものだったかを説明し始めた。その時はガーゼで覆われていたので「仕方ないでしょ」と嗜めることしか出来なかった(が、帰宅してから傷口を見たら確かに酷かった)。
看護師さんから抜糸時期と今後の注意点を聞き取った後、帰宅許可が出た。

午後11時半頃
タクシーを捕まえて、家に向かう。治療が終わったら連絡が欲しいと警察官に言われていたので、車内から電話をする。加害者に対してこれ以上の罪を問いたいかどうかを本人に確認してほしいとのこと。それどころじゃないんだが、、ということで追って再連絡することに。

この返答次第で、警察が今後のやりとりに加わるかどうかが決まるらしい。警察的には加害者側の非が100%で、加害者本人が全ての罪?を償うつもりでいることから、示談で終わらせる方向にしたいらしい。「たまに話し合いに応じず逃げる人もいるが、相手の方はとてもまともなので示談で終わらせたらいいと思う」と警察官からアドバイスあり。

この時点で上司に事情を説明し、明日休みが欲しいと連絡。驚きながらも許可してくれたが、パートナーへのお見舞いの言葉が一切無いことに引っかかる。なんかこういう小さなことの積み重ねで、会社に対する信頼感が薄れていく、、

午前0時前
帰宅。パートナーに警察官や加害者と話したことをひと通り共有して就寝。

8月31日AM
起床。パートナーは頭痛、めまい、首の痛みが朝から出ているようだ。食欲はあるらしい。朝ごはんを軽く食べてから、パートナーは寝室で横になっていた。仕事は来週の月曜日まで休みを取れたらしく一安心。

わたしは身支度をして、昨日交番に置きっぱなしにした自転車2台を引き取りに行くことに。何かあったら連絡して!と伝えて家を出るが、数分後に家に携帯を置いてきたことに気づく。取りに帰ろうか迷ったが、パートナーを信じてそのまま交番に向かった。

先にパートナーの自転車を引き上げてから、自分の自転車で買い出しに行こうとしていたのに、交番に着いてからパートナーの自転車の鍵を持っていないことに気づく。こんな時でもおっちょこちょいは健在である。

交番の警察官に自転車を引き取りにきたことを伝えると、昨日現場にいなかった警察官だったらしく、パートナーの連絡先や個人情報をいろいろと聞かれた。「できれば2回目に来る時に在留カードを持ってきてください」とのこと。日本で外国人が生きていくのに、在留カードは命の次に大切と言っても過言ではなさそう。

自分の自転車を引き上げ、そのまま買い出しへ。ヘトヘトになりながら帰宅。置き忘れた携帯を開くとパートナーからLINEが入っている。「やばい!」と思って急いで確認したら、tiktokのおもしろ動画が共有されていただけだった。驚かすな!

在留カードと自転車の鍵を握りしめて再び交番へ。警察官に挨拶してから、パートナーの自転車を引いて帰宅。異様に高いサドルの自転車を引きずる152cmの女を不思議そうに見る京大生たち。こっち見るな!

8月31日PM
交番からの帰り道で、絶対にマクドナルドを食べると決めたわたし。疲れている時に限って、身体に良くないものを脳みそは欲しがる。マクドナルド大好き人間のパートナーにも一応声をかけると、「食欲ないからいらない」とのこと。その数分後に「やっぱり食べる」と言ってきた。すべて予想通りである。

お店まで向かう元気はなく、ウーバーイーツで注文。えびフィレオを食べたらみるみる元気が出てきた。パートナーも頑張ってひと通り食べて、その後は再び横になっていた。

軽く掃除をしたり、パートナーのケアをしているうちに夕方に。さすがに夜ご飯は栄養のあるものをといろいろ作った。一緒に夜ご飯。スープが一番食べやすいとのことで、しばらくはスープ中心のメニューに切り替えることに。一日中ゾンビのようなパートナーの姿に、明日も付き添ったほうがよさそうだなという気持ちに駆られ、もう一日休ませてもらうことに。こういう時にスパッと「休んでいいよ!」と言ってくれない上司。ああまた仕事の愚痴が、、

可哀想なくらいぐったりしているパートナー。無表情で言葉少なく、拗ねてるのかなとも思ったが、よくよく話を聞いたところ、表情筋を動かすと傷が痛むらしい。笑うことができなくて辛いとのこと。無理して笑わなくていいよと伝えた後、tiktokのおもしろ動画を見せて笑わせようとする悪どい彼女、、

9月1日
起床。朝から大雨。気圧の影響を受けやすいパートナー、頭痛とめまいが酷いとのこと。かわいそう。少しずつ口数が増えてきた。首が痛むようなので、痛み止めの湿布を貼ってあげたらかなり効いたらしい。

パートナーが横になっている時間を見計らって自分のことをしようとしたが、そのタイミングでいろいろお願いしたいことが出てきたらしく声をかけられる。もしわたしが誰かを介護することになったら、こういう生活になるのか、、と思いを馳せ、すべての介護職の人々に感謝の気持ちが湧いてきた。

明日は仕事のため23時就寝。深夜2時前、パートナーが突然飛び起き、枕を抱えたまま寝室の壁を指でなぞっている。虫かな?と思ったわたしも同じく寝ぼけているので、「ヤモリ?!」と聞くと夢から覚めたらしく、そのまま枕を抱えてトイレに向かってしまった。(なぜヤモリと聞いたかは誰も分からない)
心配になって追いかけると「悪夢を見た」とのこと。かわいそうに。

9月2日
起床。パートナーもしばらくして起きてきた。昨日よりめまいがマシになったとのこと。朝の時点では少しだけ良くなっているように見えた。

出勤。嫌いな同僚に早速「大丈夫でしたか?」と声をかけられる。なんでお前が知ってんだよと思いつつ、大丈夫ですと言えるわけないだろと思いつつ、適当に返事をする。お前には何があっても詳細を話すことはありません。

溜まっていた仕事を片付けていたら、あっという間にすることがなくなった。担当の現場が早く終わったので時間休を取って2時間早く帰宅。ここには書かないがすごくしみったれた嫌なことが職場であり、もうここにいる意味も、いたいという気持ちも失せてしまった。その結果「今年度中に転職先を見つける」という固い意思が定まった。

買い出しを済ませてから帰宅すると、パートナーが嬉しそうだった。もう笑っても傷が痛まないらしく、表情が豊かになっていた。ただ頭痛がひどいのと、めまいが復活したのと、吐き気があるらしい。夕方までは食欲があったとのこと。夜はスープを数口飲んでから、しんどいと言って横になってしまった。全体的にはよくなっているとの本人談。運良く明日は休みなので、注意しながら付き添う。