自然界との闘い

2020年、わたしたちの本厄が間もなく終わろうとしている。そして後厄へ。狩りから稲作へ。前厄から本厄へ。

毎年「今年はいろいろあった」と言っている気がするが、今年ももれなくいろいろ起こっている。取り急ぎ共有したいのは、わたしの今年の厄がすべて住居トラブルに終始したことである。ここに、今年一年の騒動を列記する。

2019.11…入居。両隣の外国人たちの夜間のどんちゃん騒ぎに辟易する日もあったが、言葉が分からないのであまり気にならないというポジティブな発見をする。比較的平和な日々が続く。

2020.5…ベランダに謎の黒い蛹が出現し始める。明らかに昆虫の蛹である。同時に隣のベランダに大量のゴミ袋が積んであるのを仕切り越しに発見してしまい、恐怖で窓を開けられない日々が続く。

同月…ベランダの床に這っている排水ホースの下に大量の蛹を発見。ハエの蛹だということが判明し、管理会社へ連絡。数日後に担当者が来訪し、綺麗に掃除をしてくれた。ホースの位置が悪くハエの温床になっていたことが発覚。隣人のせいにしてごめん。と同時に、異臭を報告。数日後にはゴミ袋がすべて綺麗になっていた。

2020.6…この頃から隣人の声が聞こえなくなる。どうやら引越したようだ。聞こえなくなるとそれはそれで寂しい。

2020.7…マンションの階段の踊り場に、害獣除けの薬が置かれ始める。このマンションにネズミが住んでいることを暗に理解する。

同月…浴室で化粧を落としていたら、鏡越しに大きなゴキブリを発見する。住居でゴキブリに遭遇したことがないというのが小さな自慢だったが、この日をもって、その称号は消え去ることとなった。とりあえずひと叫びした後、顔にクレンジングオイルを塗りたくった裸一貫の32歳女は浴室を飛び出した。急いで扉を閉めた後、母親に電話する。電話したって仕方ないのに、もう儀式のようなものである。電話中に、彼氏に助けを求めることを思いつく。翌日、彼氏によってゴキブリはご臨終。

2020.8…久しぶりにマルちゃん製麺を食べようと冷蔵庫横のストックを開けたら、袋が破られていた。今考えればどう考えてもネズミの仕業だが、令和の時代にネズミが家に出るはずがないという思い込みから、ゴキブリによるものだと結論付け、破られていなかったラーメンを普通に食す。

同月…深夜2時頃、部屋で寝転がっていたらキッチンから「ガサガサ、スタン、スタン」と音がする。寝転んだまま視線をそちらに向けると、長いしっぽが見えた。ヘビ!と一瞬思った後、違う!ネズミ、ネズミや!と分かり、とりあえずひと叫び。叫び声によってネズミはすぐにいなくなったが、そこには無残にも食いちぎられた沖縄そばが横たわっていたのだった。彼氏に電話すると眠そうな顔で「ネズミは友達。悪いやつじゃない」という返事があり、そういうことじゃねえ、、となる。ひとまずやばそうなエリアにガムテープを貼る。

同月…管理会社に連絡してから数日後、業者がチェックしに来る。すごい早さで穴を発見してくれ、修理が必要とのことでひとまずの養生テープを二重にして対処。

同月…眠れない日々が続く。この時期が一番辛かった。幻なのか本当なのか、カリカリと音が聞こえる。食糧はすべて冷蔵庫に入れたからもう食べるものはないはずだが、ネズミは味を覚えているらしく、その後も何度もやって来たのだろう。毎日テープが剥がれていないかを確認して、眠りに着く時にはラジオを流して何とか眠った。

同月…お盆明けにようやく業者が来てくれ、穴を塞いでくれた。仮止めしていたテープを剥がしたら、突破しようとした歯形が残っていた!怖い!二重に貼ってなかったらやばかった!作業中、業者さんと話していたら、前月にも同じ修理でこのマンションに来たと言われた。全く同じ場所に穴があったらしく、だからあんなに素早く発見できたんだなと納得。ネズミは500円くらいの穴があれば簡単に侵入してくるらしいので、みなさんも本当にお気をつけ遊ばせ。

2020.9…侵入できなくなったネズミたちが天井を延々とランナウェイしている。しばらく怯えていたが、突然「家賃払ってるのはこっちやぞ!」と強気になり、寝る前にストレッチポール(長い)で天井をドンドコ叩いてみた。それ以来少し静かになり、戦うことの大切さを学ぶ。

昨日…管理会社から翌年以降の契約更新に関する書類が届く。年度末で出ることを決め、その理由に「害虫などのトラブルが続くため」と記入。本当に本当なんですがその10分後、突如大きな黒い物体がベッドルームの天井をこちらに向かって這ってきた。信じたくなくてカブトムシかな?!と一瞬思ったが、近づくと長い触角が見える。間違いなくゴキのブリである。信じられないことに、その日のわたしはえらく勇敢で、ベランダに置いていたゴキのブリスプレーを取りに行き、ゴキに向かって放射しまくった。ブリは一度わたしに向かって飛んできてわたしのふとももにトンと当たった後、死んだ。ついに、ついに勝った!生まれて初めての勝利!わたしはかなり昂っていた。しかしその後凄まじいスプレーの威力により、わたし自身も体調を崩すのであった。。


以上がこの一年に起きた悲劇である。あと数ヶ月の我慢。。